スマホ、パソコン、自動車、冷蔵庫、洗濯機、コーヒーメーカなど、日々の生活に欠かせないあらゆる製品の中には半導体「チップ」と言う小さな四角い電子部品が存在します。これらのチップを作るには、エキシマレーザと言う特殊な光を使った非常に複雑な製造プロセスが必要です。ギガフォトンはこの特殊な光を提供する製品が作れる世界中で2社しかいない企業の1社です。エキシマレーザが無ければ、私たちが毎日頼っているほとんどの製品は存在できません。
半導体チップを作る工程は「フォトリソグラフィ」と、その名の通り昔の銀塩(フイルム)写真の現像プロセスと非常に似ています。基本的には、あるイメージパターンを感光材が塗られた素材の上に光を使って転写する技術です。写真の世界では、このイメージパターンとは被写体が撮影されたフイルムで、感光材が塗られた素材とは写真用紙になります。
フォトリソグラフィ(通称「リソグラフィ」)では、イメージパターンはマスクと言う透明のプレートに細かいチップの回路パターンが焼きつかれていて、感光材が塗られた素材とはシリコンウェハになります。しかし、チップの場合は普通の光ではなく、特殊な光を使わないとイメージパターンを転写できません。
レーザ(Laser)とは、Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation(放射の誘導放出による光増幅)の頭文字を取ったもので、共振器を用いて光(電磁波)を増幅して得られる人工的な光です。レーザ光は指向性や収束性に優れ、また波長を一定に保つことができる等の物理的な特長があり、この特長を活かして、付加価値の高い先端加工用途に使われています。
通常、原子・分子は、ある特定のエネルギーをもって運動しています。外部からエネルギーをもらうと、これらの原子や分子はさらに高いエネルギーをもって運動します。これを励起状態といいます。しばらくすると原子や分子は、その余分なエネルギーを吐き出し、元のエネルギー状態に戻ろうとします。そのとき、吐き出された余分なエネルギーは光となって外部へ放出されます。これを「自然放出」といいます。この光が他の高いエネルギーをもった原子や分子に衝突すると、そこから同じ性質の光が放出されます。これを「誘導放出」といいます。エキシマレーザは、紫外領域のレーザとしては例外的に高効率で発振でき、かつ装置を比較的小型にできる特長があるため、高度な解像力を必要とする最先端の半導体露光装置の光源に適しています。また、工業や医療(レーシックなどの視力矯正手術用)など、様々な分野で応用されています。